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代表挨拶

イラスト

「生まれてくれてありがとう」を届けよう

イラスト
西野 博之
認定NPO法人フリースペースたまりば
理事長
西野 博之 にしの ひろゆき
  • 認定NPO法人
    フリースペースたまりば理事長
  • 川崎市子ども夢パーク
    フリースペースえん
    川崎若者就労・生活自立支援事業「ブリュッケ」
    コミュニティスペースえんくる
    各事業総合アドバイザー
  • 神奈川大学 非常勤講師
  • 精神保健福祉士

フリースペースたまりばは、1991年川崎市高津区の多摩川のほとりの小さなアパートで産声をあげました。子どもたちと毎日遊んだその川の名前にちなんで、「たまりば」と名づけました。

始めるきっかけになったのは、小学校1年生の男の子との出会い。入学してわずか1か月で学校に行こうとするとお腹が痛くなる。無理して行こうとしている間に、とうとう玄関先で倒れてしまいました。そのとき少年が大粒の涙をためて語ったのが「ぼく、もう大人になれない」という言葉。みんなは進級・進学していく。僕は1段目の階段を踏み外しちゃったと思い詰めてしまった切ない少年の涙でした。

その当時は「登校拒否児」と呼ばれ、偏見と無理解のなかで、周囲から、本人とその親が責められました。子どもたちの「いのち」の炎が細く、小さくなってゆらいでいる。子どもが学び・育つ場は学校だけなのか。学校の中に自分の居場所が見つからない子どもたちは、どこで学び、育つことができるのだろう。それがないのなら、自分たちの手でつくるしかない。こうして「たまりば」づくりが始まりました。

最初に来た子どもたちがやったことは、アパートの押入れの中に入って天井の板を外し、クモの巣がかかった天井裏に立てこもり、そこの掃除をすることでした。2週間たって「見ていいよ」と言われて覗いてみると、天井の梁にろうそくを立て、ピースをしながら微笑む少女たちの顔が目に飛び込んできました。「ここが私たちの居場所よ」。この時の衝撃を今でも忘れません。おとなが差し出す一切の支援を拒むかのような強さ、決意のようなものを感じました。

学校外で学び育つ場を用意しようと、おとなが「良かれ」と思って差し出すメニューが、目の前の子どもたちをさらに追い詰めることがある。「私たちは、ほっとしたんいんだ」。消え入りそうになっていたいのちの炎を再び輝かせるには、まずはたっぷりとした「子どもの時間」を取り戻すこと。おとなが決めたカリキュラムを押し付けるのではなく、自分が何をしたいのか。どう生きたいのかに迷いながら揺れ動く子どもの「いのち」に寄りそうこと。いま目の前の子どもの「ありのまま」をしっかりと受けとめることの大切さを、この子どもたちのアクションから教わりました。これがその後の私たちの活動の原点となって、いまでも息づいています。

その後川崎市で「子どもの権利に関する条例」をつくることになったときに、調査研究員会の世話人の一人として策定に関わり、条例制定後はその具現化をめざした子ども夢パークづくりに携わって、今はその運営を市から任されています。10,000㎡の広い敷地を使って思い切り遊び、やってみたいことに挑戦できる環境や無料で通える公設民営のフリースペースえんの開設を実現しました。

その他にも、川崎若者就労自立支援センター「ブリュッケ」の運営、市内3か所の児童相談所で子どもと大学生をマッチングさせる「ふれあい心の友」事業、生活困窮者・ひとり親家庭の子どもを対象とした無料学習支援事業の受託へと、活動の幅を広げてきました。私たちは「既成の制度や仕組みに子どもをむりやりあわせるのではなく、子どものいのちの方へ制度や仕組みを引き寄せる」を、法人のミッションとしました。

「生まれてくれてありがとう」「あなたがいてくれて、幸せだよ」。このメッセージをしっかりと子どもたちに届けたい。子どもの「いのち」を真ん中に、「子どもの最善の利益は何か」を問い続けながら、これからも「だいじょうぶのタネ」をまいていきたいと思います。

Facebookでも発信しています。




フリースペースたまりばのイメージ

略歴・著書など

1986年より不登校児童・生徒や高校中退した若者の居場所づくりにかかわる。

1991年、川崎市高津区にフリースペースたまりばを開設。 不登校児童・生徒やひきこもり傾向にある若者たち、さまざまな障がいのあるひとたちとともに地域で育ちあう場を続けている。

2003年7月にオープンした川崎市子ども夢パーク内に、川崎市の委託により公設民営の不登校児童・生徒の居場所「フリースペースえん」を開設、 その代表を務める。

2006年4月より川崎市子ども夢パークの所長に就任。

もと「川崎市子ども権利条例 調査研究委員会」世話人、「川崎市子ども夢パーク推進委員会」委員、「川崎市教育プラン策定委員会(学校教育専門部会)」委員、「川崎市子どもの権利委員会」委員、「かながわ思春期サポートプロジェクト会議」プロジェクトリーダー、「高津市民館運営審議会」委員、「湯河原町いじめに関する調査委員会」委員 「川崎市子どもの安全・安心な環境づくりに係る専門委員」(中1死亡事件検証委員)「川崎市社会福祉協議会第4期地域福祉活動推進計画策定委員会」委員、文部科学省「フリースクール等に関する検討会議」委員などを歴任。

2001年から民間基金「NPO法人神奈川子ども未来ファンド」の初代理事長として、子どもの育ちや子育てを社会で支えるしくみの創設に取り組んだ。

また、2010年10月に横浜で開かれた「第5回 冒険遊び場づくり全国研究集会」にて実行委員長を務めた。 2010年4月より1年間、毎日新聞にて隔週日曜日にコラム「きっと、だいじょうぶ。」を連載。

現在、「神奈川県学校・フリースクール等連携協議会」委員、「川崎市不登校対策連絡協議会」委員、「高津区子ども・子育てネットワーク会議」委員長、「高津区要保護児童対策地域協議会」委員、「神奈川県青少年問題協議会」委員、「公益財団法人かながわ生き活き市民基金」評議員、「日本ユニセフ協会 子どもにやさしいまちづくり事業(CFCI)委員会」委員、「かわさきチャイルドライン」運営委員、「NPO法人つながる会」理事、「認定NPO法人神奈川子ども未来ファンド」理事。

神奈川大学非常勤講師。

著書

単著

  • 『居場所のちから-生きてるだけですごいんだ-』<2006年3月刊 教育史料出版会>
  • 西野流「ゆる親」のすすめ<上>
    『7歳までのお守りBOOK~「正しい母さん・父さん」を頑張らない。~』<2015年2月刊 ジャパンマシニスト社>
  • 「ゆる親」のすすめ<下>
    『10歳からの見守りBOOK~だいじょうぶのタネをまこう。~』<2015年4月刊 ジャパンマシニスト社>

共著

  • 『居場所づくりの原動力-子ども・若者と生きる、つくる、考える-』<2011年12月25日 松籟社>
  • 『居場所とスクールソーシャルワーク(西野博之・山下英三郎)』<2018年4月10日刊 子どもの風出版会>
  • 『居場所づくりにいま必要なこと―子ども・若者の生きづらさに寄りそう―』<2019年9月20日刊 明石書店>

最近の分担執筆

    ※更新準備中※

  • 『持続可能な教育社会をつくる -環境・開発・スピリチュアリティ-』<2006年3月 せせらぎ出版>
  • 『子どもの居場所 ママの居場所-川崎市幸市民館「家庭・地域教育学級」の取り組み-』<2006年12月 赤ちゃんとママ社>
  • 『子ども条例ハンドブック ~子どもの権利研究第12号~』<2008年2月 日本評論社>
  • 『子ども支援の相談・救済 -子どもが安心して相談できる仕組みと活動-』<2008年3月 日本評論社>
  • 『子どもの権利研究15号 -子どもの権利条約の20年-』<2009年7月 日本評論社>
  • 『不登校・ひきこもりをとらえなおす』<2009年3月 フリースペースたまりば>
  • 『戸惑う思春期、根っこの乳幼児 -子どもが育つってどういうこと-』<2009年11月 プレーパークせたがや>
  • 『フォトレポート 居場所って、どんなとこ?-公設民営の居場所「フリースペースえん」の現場から①-』<2010年3月 フリースペースたまりば>
  • 『ディスカッション 居場所 その学びと暮らし-公設民営の居場所「フリースペースえん」の現場から②-』<2010年3月 フリースペースたまりば>
  • 『子どもの権利研究第18号 「自分らしく生きる権利と思春期の居場所」』<2011年2月28日 日本評論社>
  • 『子どもの居場所ハンドブック ~子どもの権利研究第22号~』<2013年2月 日本評論社>
  • 『生きる力をそなえた子どもたち』<2013年6月20日 日本家庭科教育学会>
  • 『子どもにやさしいまちづくり[第2集]』<2013年9月30日 日本評論社>
  • 『子どもの権利研究25号「子どもの現場と権利理論との対話」』<2014年8月 日本評論社>

最近の執筆・インタビュー掲載記事

    ※更新準備中※

  • 『婦人公論』 特集「正しいお母さん」を頑張りすぎないで<2008年11月7日号 中央公論新社>
  • 『AERA with Baby』 「ドキドキ・ハラハラ プレーパーク・デビュー」<2009年冬号 朝日新聞社>
  • 『edu[エデュー]』 特集「失敗は子育ての宝物」<2009年2・3月合併号 小学館>
  • 『おそいはやい』 NO.48 「ぼくの夢物語~「暮らし」と「遊び」をとりもどそう」<2009年3月25日 ジャパンマシニスト>
  • 『edu[エデュー]』 特別企画「しあわせ家族の第一歩は 母子の会話から」<2009年6月号 小学館>
  • 『おそいはやい』 NO.54 「挑戦する力がわいてくるとき」<2010年3月25日 ジャパンマシニスト>
  • 『おそいはやい』 NO.55 「おっちゃんも、よくサボッたなぁ」<2010年5月25日 ジャパンマシニスト>
  • 『edu[エデュー]』 「問題を解決する、子どもの話の上手な聞き方」<2010年6月号 小学館>
  • 『小学二年生』 「子どものトラブルや失敗は成長するチャンス」<2010年7月号 小学館>
  • 『共同通信47news』 「子育てさがし」<2010年5月18日配信 共同通信デジタル編集部>
  • 『婦人之友』 「不登校“居場所”はどこに」<2010年9月号 婦人之友社>
  • 『ちいさいおおきい』 NO.77 「気まず~いっ いじめた!?いじめられた!!」<2010年8月25日 ジャパンマシニスト>
  • 『仏教の生活』 239号 「その”まなざし”がいのちを守る」<2012年夏/お盆号 中山書房仏書林>
  • 『サンデー毎日』 8.12増大号 「いじめられても死なない10の方法」<2012年8月12日 毎日新聞社>
  • 『おそいはやい』 NO.70 「少しの工夫で?発想の転換で?小学校はこうすれば、もっと楽しくなる!!」<2012年11月25日 ジャパンマシニスト>
  • 『おそいはやい』 NO.72 「学校に行かない・行けないときの過ごし方」<2013年3月25日 ジャパンマシニスト>
  • 『女性展望』 「子どもたちに笑顔を -市川房江政治参画フォーラム2013より」<2013年7月市川房江記念会出版部>
  • 『幼児の教育』2013、秋 「「おいしい、うれしい、たのしい」でつながる子どもたち」<2013年10月 日本幼児園協会フレーベル館>
  • 『人権と教育』59号「たまりば」が紡いできたまなざし<2014年6月30日 障害者の教育権を実現する会>
  • 『形成』24号 川崎市子どもの権利条例を具現化する~10周年を迎えた「川崎市子ども夢パーク」のとりくみ~ <2014年4月 川崎教育文化研究所>
  • 『思春期edu』思春期は反抗期ではありません。「自己主張期」です。<2014年6月 小学館>
  • 『現場発 生活保護自立支援 川崎モデルの実践』若者就労自立支援事業「受給世帯に眠るひきこもりを支援したい」<2014年10月ぎょうせい>
  • 『初等教育資料12月号』豊かな教育のひろがり045 「子どもの自由な発想で、遊び、学び、つくり続ける」<2014年12月 東洋館出版社>
  • 『子どもの権利研究26号「子どもの相談・救済ガイドブック」』子どものいのち・暮らしを真ん中においたあそび・学び<2015年2月日本評論社>
  • 『きいてみよう 障がいってなに?』 第3巻「学校で困っていることある?」不登校ってズル?<2015年4月 ポプラ社>
  • 『月刊 高校教育 特集 いのちを守るために学校ができること 「学校外の現場からーいのちを育むために考えるべきことー」』<2015年7月学事出版>
公開日 : 2020-6-25